「コロニアルNEO」を筆頭に築15年前後のほとんどのスレート系屋根材は、それまで原料の一部に使われていたアスベスト(石綿)が含まれなくなったことで、屋根材自体の強度が弱くなっています。
今回は松下電工が平成13年~平成15年10月にかけて製造販売した「シルバス」において発生してしまった不具合事例をご紹介したいと思います。
【松下電工 シルバス】
こちらが松下電工から発売された「シルバス」です。
働き幅は910mmで屋根材1枚にスリット(溝)が2本入っているのが特徴です。
屋根調査のため梯子を掛け屋根を覗いたその目の前の屋根材が割れていました。
割れた欠片を取り除くと…
松下電工の屋根材と判断できる模様が現れてきました。
今回調査に伺ったお客様は2~3年前にリフォーム工事をされ、そのときに屋根の再塗装をされたそうです。
実は今から5年以上前に同じシルバスで再塗装をされたお客様より「屋根材が割れて落ちてきた」というご相談をお受けしたことがございました。
この当時は結果的に屋根を全面葺き替えすることになり、その施工を弊社で担当させていただきました。
あれから5年以上経過し同様の被害が発生しているということは、残念ながら製造メーカー(現在のケイミュー)は自社の製造販売した屋根材に発生している問題を隠蔽しているとしか思えません。
また今回の調査では、再塗装工事中に新たに屋根材が割れていたことを証明する、補修した形跡が多数確認できました。
屋根を再塗装する際には必ず高圧洗浄を行いますので、恐らくその時点で問題が発覚していたと思います。
問題が発覚したにも関わらず工事をそのまま進めてしまったことは、リフォーム工事を請け負ったリフォーム会社さんにも大きな問題があると言えます。
新たな僅かな屋根材の割れもあり、このままの状態を放置しておくと、昨年の台風と同じクラスの台風が直撃した場合、更に屋根材が割れて飛散する恐れもあります。
お客様には現状をご報告し、まずは工事を請け負ったリフォーム会社さんに至急連絡を入れることをお勧めしました。
松下電工のシルバス以外にも、再塗装をしてはいけない屋根材はたくさんあります。
アスベストを含まなくなったスレート系屋根材(クボタのコロニアルNEO、グリシェイドNEO、ザルフ、ザルフグラッサ、松下電工のレサス、シルバス、ニチハのパミールなど)については再塗装はお勧めしません。
仮に塗装をしたとしても、2~3年後には必ず新たなヒビ割れが発生します。