レオパレスの施工現場で発覚した施工不良問題、これは建築現場で日常的に発生しているもので、云わば「起こるべくして起こった」ものだと私は考えます。
レオパレスのとあるオーナー家族が室内の壁に穴を開けて調査したところ、図面に記載された資材とは全く違うものが使われていたそうです。
このような「図面に記載されたものと違う資材が使われた」という事例は、私が身を置く屋根業界においてはすでに同様の事例が多数発生していたのです。
建築図面の仕様書や矩計図(かなばかりず、くけいず)、立面図などに「カラーベスト葺き」「コロニアル葺き」といった記載があります。
(仕様書の外部仕上表)
(矩計図には「カラーベストコロニアル」の記載があります)
(こちらはクボタのコロニアルNEOという屋根材です)
屋根材にカラーベストコロニアル…コロニアル葺き…このような記載があるのですから、当然クボタ(現在のケイミュー)から発売された「コロニアル」という商品名の屋根材が使われていなければならないのですが...
ところが…よくよく調べてみると屋根材はニチハの製造したパミールだった…
設計の時点では「コロニアル」を使うよう図面に指示があるのですが、実施の現場ではパミールが使われている。
工事中に元請けからの指示があった可能性もありますし、屋根工事を受注した工事店が意図してパミールで工事をしたのかもしれませんが、このように図面と違う材料を使って施工されているケースは、屋根においては多々発生している状況なのです。
特にコロニアルとパミールの違いは、よほど屋根材に精通していなければ見分けらることは出来ません。
レオパレスの問題では実際の施工と図面が違っていたことについて、オーナー側の弁護士は「最初から図面通りやるつもりがないというようなことであれば刑法上の詐欺が問題になってくるが…(後に続く)」と指摘しております
つまり、【屋根において「カラーベスト」「コロニアル」と記載があるのにあえて「パミール」を使っていたのであれば、これは明らかに刑法の詐欺が問題になる】と解釈できるわけです。
注)建築業界ではコロニアルやパミールなどの化粧スレート屋根材は総称して「コロニアル」と呼ばれており、実際に工事を請け負った元請け、及び屋根業者がこのあたりをどう考えていたのかは疑問が残ります。
オーナー側の弁護士は「…いずれの物件も建築時から十数年が経っているので、立件することが難しい」ともコメントしております。
ニチハの製造したパミールは、製造を終了して昨年でちょうど10年が経過しました。
中堅どころのハウスメーカー(◯◯グループや建て売り業者など)では、パミールが使用されているケースが非常に多いように見受けられます。
パミールに起きている問題を考えれば、なにも知らないでパミールが使われている家を購入した方々は「被害者」と言えるでしょう。
レオパレスの問題に限らず、建築業界にはまたまだ奥の深い闇があるのです。
この先も少しずつではありますが、このような建築業界の闇の部分を公表していくつもりです。