屋根からの雨漏りには様々な原因が考えられますが、新築時の施工不良が原因で雨漏りすることもございます。
今回は屋根葺き替え工事の現場で発覚した、新築当時の施工不良をご紹介したいと思います。
写真のような「棟」という部分と水上部分から降りてくる「ケラバ」という部分がぶつかるところを「棟違い」と言います。
この部分は、基本的に「野地をカットしてルーフィングを差し込む」ことが必須なのですが、意外とこの工事を行っていないケースが多く見られます。
こちらは築12年の屋根です。屋根材を剥がしてみると棟違い部分は野地板で塞がれておりますが、これが雨漏りの原因となりえるのです。
こちらは築30年以上経過した屋根です。
元々瓦が施工されており、過去に屋根を葺き替えされていたようですが、やはり棟違い部分の野地はカットされておりませんでした。
ではここから本来あるべき棟違い部分の施工方法をご覧に入れたいと思います。
まずは上の写真のように野地板を切断することが必須となります。
続いてルーフィング材をカットした野地の奥まで敷き込みます。
あとは規定通りにルーフィングを施工するだけです。
この「一手間」を加えることで、屋根からの雨漏りのリスクを回避することができるのですが、残念ながらいまだに棟違い部の野地をカットすることを知らない大工さんがいらっしゃるのが現実です。
実際にこちらの現場にお邪魔した時には、驚いたことに「こんな施工方法は見たことない」と言われましたが、この施工方法は各瓦メーカーの施工マニュアルにも記載されている、ごく一般的な当たり前の工事となります。
なお、棟違いは今回御覧に入れた形状だけではなく、隅棟とケラバがぶつかる部分や、本谷と軒先がぶつかる部分においても同様の施工方法が求められております。
もしも運悪く雨漏りが発生してしまった場合、もしかしたらこのような「施工不良」が原因の場合もあるかもしれません。