日本瓦の屋根でリフォーム業者さんがよく施工される工事に「漆喰の塗り直し(詰め直し)」があります。
しかし、この工事は見た目だけよくなる、云わば「その場しのぎの工事」で、根本的な解決にはなっていないのです。
日本は大きな地震がいつきてもおかしくないと言われております。
来るべき震災に備え、屋根を補強する意味からも、日本瓦の棟部分の漆喰が剥がれていたり、棟に歪みが発生しているようであれば、「耐震」を見据えたメンテナンスをすることが望ましいのです。
そこで今回は、国家資格である1級かわらぶき技能士が、全日本瓦工事業連盟(全瓦連)の推奨するガイドライン工法に沿った技術で施工する、本当に正しい「棟の積み直し工事」の模様をご覧に入れたいと思います。
まずは現地調査時の写真より。
棟が歪んでいるのがご覧になれると思います。
漆喰の剥がれなどはありませんが、棟の歪みが酷いことから、今回は棟の積み直し工事のご依頼をいただきました。
【工事1日目 解体】
まずは既存の棟瓦を丁寧に解体していきます。
1段目の熨斗瓦と2段目の熨斗瓦の角度の違いがご覧になれるかと思いますが、これが将来的に「雨漏り」へと繋がる状態なのです。
下地(ルーフィング材や瓦桟木)の状態は悪い状態ではありませんでした。
よって棟の解体が完了したら、引き続き棟の積み直し工事に入っていきます。
【工事2日目 棟積み直し工事①】
まずは棟際の桟瓦(平瓦)はステンレス釘を使って緊結します。
棟を積み直す場合、棟際の瓦を固定し直すことで、より地震に強い棟を築くことができるのです。
ちなみにピンクの糸がご覧になれると思いますが、これは熨斗瓦を並べていくときの目安とするためのものです。
この糸に合わせて熨斗瓦を並べるのです。
こちらは棟を積み直す時に使用する南蛮入り漆喰です。
棟際に南蛮入り漆喰を盛って、表面を整えているところです。
南蛮入り漆喰を盛ったあとに銅線を通した熨斗瓦を並べていきます。
そして熨斗瓦の角度とラインがまっすぐになるように微調整を行います。
熨斗瓦同士を緊結して1段目の熨斗瓦の施工が完了です。
この作業の続きはまた後日アップさせていただきます。