カラーベスト・コロニアルなど、化粧スレート屋根材への塗装工事について、長年にわたり多くの屋根を見てきた結果、基本的に「塗装工事は不要」という持論を持っております。
その理由は、屋根を塗装することによって寿命を短くしてしまうからです。
そもそもなんのために屋根を塗装するのでしょうか?
現在発売されている化粧スレート系屋根材、この最大手メーカーでもあるケイミュー株式会社の見解は「美観上気になる場合」に、屋根の塗装工事を推奨しています。
しかし世間一般的に見ても、多くの方が外装リフォーム工事のときに「屋根塗装」も一緒に行っておられます。
これは外装リフォームにおいてはよくあることなのですが、せっかく足場を架けるのであれば...という理由で屋根も同時に塗装を勧められるのです。
化粧スレート屋根材は、塗装をしなくても30年程度は全く問題ありません。
しかし、塗装をしたことによってかえって屋根材の寿命を短くする原因にもなり、早い段階で「葺き替え」などのリフォームが必要になるケースもあるのです。
こちらは築25年、クボタのアーバニーという屋根材です。
約15年前にメンテナンス工事として外壁塗装工事と一緒に屋根も塗装されたようです。
写真の左側が北面になります。
北面は陽が当たりにくいため、苔(コケ)が付着しております。
こちらは隅棟部分です。
差し棟板金に色褪せが発生しておりますが、前回の塗装時に厚塗りをしすぎたせいか、塗料が垂れたような形跡を確認することができました。
そしてコチラが屋根材本体です。
塗膜は剥離が始まり、屋根材の表面が露出してきております。
またこちらも厚塗りしたせいか、塗膜が塊となって剥がれてきそうな雰囲気です。
クボタ・アーバニーはスリットの入る屋根材です。
塗装工事をする場合、刷毛で念入りに塗り込む作業が必要なのですが...
刷毛でしっかり塗っていればこのような症状が現れてくることはありません。
塗装工事後に塗膜の剥離が始まっている状態では「再塗装工事」は、新しい塗膜の剥離が比較的早い時期に発生する恐れがあるためお勧めできません。
こうなってしまった場合、屋根においては「葺き替え工事」又は「重ね葺き工事」といった工事が必要になります。
なお、このような状態であってもすぐに屋根の葺き替え工事や重ね葺き工事が必要なワケではありません。
外壁の再塗装工事と併せて屋根の葺き替え、又は重ね葺き工事を行っていただければよいのです。
またこの時には、築年数から考慮して例えば天窓(トップライト)の交換や、雨樋の交換も一緒にご検討されることをお勧めします。