戸建住宅にお住まいの方が築10〜20年で最初に行うリフォームは、屋根及び外壁の塗装工事だと思います。
しかしいざ「屋根を塗装しよう」といったときに屋根材に思いがけない症状が発生していることで工事がストップすること珍しい話ではありません。
本来であれば事前の調査で確認をしておけば済んだ話なのですが...
ここで問題の多い屋根材をご覧に入れますので、ご自宅をリフォームされる際の参考にしていただければと思います。
パミール(ニチハ株式会社)
【主な症状】表面の剥離、層間剥離、反り上がり、脱落、ズレなど
【発症時期】築7年前後
【メーカー保証】一切なし
【危険度】★★★★★
2008年(平成20年)に生産を打ち切ったニチハのパミール、ここにきてお問い合わせが増えてきております。
特に築10年前後の中堅ハウスメーカー、地元密着を売りにしているハウスメーカー又は工務店、分譲(建売)住宅にお住いの方からのお問い合わせ・ご相談が多く、共通しているのは建築図面に「カラーベストコロニアル葺き」「無石綿スレート葺き」と記載されていることが多いです。
レサス(松下電工 現:ケイミュー株式会社)
【主な症状】ヒビ割れ、欠け、反り上がり、欠片の脱落など
【発症時期】築8年前後
【危険度】★★★★★
2006年(平成18年)に発売を終了しており、最近はあまり聞かなくなってきた松下電工のレサスですが、塗装後に「屋根材が割れている」「欠片が落ちてきた」というトラブルが多いのもこのレサスの特徴です。
今後数年間は注意が必要な屋根材です。
シルバス(松下電工 現:ケイミュー)
(再塗装後に発生した屋根材の割れ)
(再塗装時にタスペーサーを入れたことによる割れ)
【主な症状】ヒビ割れ、欠け、欠片の脱落など
【発症時期】築10年以上
【メーカー保証】10年
【危険度】★★★★★
「レサス」と同じ松下電工よりワンランク上の屋根材として発売された「シルバス」は流通量が極めて少ない屋根材です。スリット(溝)が入っていることが大きな特徴なのですが、このスリットのおかげで強度不足に陥ってしまった感じがします。屋根材のヒビ割れや欠片の脱落といった問題はほぼ間違いなく発生していると思われますので、該当する屋根材であれば点検をお勧めします。
また再塗装工事の際に「タスペーサー」を入れる塗装業者さんもお見受け致しますが、この屋根材は「タスペーサー」を入れたことによって間違いなく屋根材が割れますのでご注意ください。
コロニアルNEO(クボタ 現:ケイミュー株式会社)
【主な症状】ヒビ割れ、欠け、欠片の脱落、希に反り上がりなど
【発症時期】築10年前後
【メーカー保証】10年
【危険度】★★
カラーベストの代名詞ともいえる屋根材がこのコロニアルNEOです。大手ハウスメーカーの注文住宅から建売り住宅まで、様々な戸建て住宅の屋根に採用されているコロニアルNEOですが、軽微なヒビ割れが発生していることがありますが、希に割れが発見されることもございます。
グリシェイドNEO(クボタ 現:ケイミュー株式会社)
【主な症状】ヒビ割れ、欠け、欠片の脱落、希に反り上がりなど
【発症時期】築10年前後
【メーカー保証】10年
【危険度】★★
カラーベストの代名詞ともいえるコロニアルNEOの姉妹品で、大手ハウスメーカーなどのビルダー専用の屋根材です。軒先のデザインがストレートになっているのが特徴で、発生する症状はコロニアルNEOと全く同じです。
アーバニー(クボタ 現:ケイミュー株式会社)
【主な症状】屋根材の割れ、ヒビ割れ、欠け、欠片の脱落など
【発症時期】築15年以上
【危険度】★★★★★
発売当時はクボタのカラーベストシリーズの最上級グレードとして発売されていた「アーバニー(アーバニーグラッサ)」は、大きなスリットの入った形状が特徴的な屋根材ですが、皮肉なことにこの大きなスリットが原因で、経年劣化により大きな割れが発生しやすくなることがあります。
ザルフ(クボタ 現:ケイミュー株式会社)
【主な症状】反り上がり、ヒビ割れ、欠け、欠片の脱落など
【発症時期】築10年前後
【メーカー保証】10年
【危険度】★★★
「ザルフ」は、カラーベストの代表格「コロニアル」よりも上級グレードの屋根材として発売されておりました。
軒先の凹凸がコロニアルNEOよりも大きいのが特徴ですが、流通量が少ないせいかあまり見かける機会がありません。
トラブルの事例としてはやはりヒビ割れ、欠け、欠片の脱落といった症状がよく見られます。築10年を経過しているのであれば注意が必要な屋根材の一種です。
ザルフグラッサ(クボタ 現:ケイミュー)
【主な症状】反り上がり、ヒビ割れ、欠け、欠片の脱落、層間剥離など
【発症時期】築10年前後
【メーカー保証】10年
【危険度】★★★
「ザルフグラッサ」は「ザルフ」の高耐候仕様の屋根材として発売されておりました。
トラブルの事例としてはやはりヒビ割れ、欠け、欠片の脱落といった症状がよく見られますが、クボタの屋根材としては珍しい層間剥離も発見されております。
以上の屋根材は、製品上の問題にから不具合が発生するケースが高い屋根材となります。
万が一ご自宅の屋根材が該当していた場合、また問題が発生していた場合は、慌ててガルバリウム鋼板などを使った「重ね葺き工事」などのリフォームはしないで、まずは私のほうへお気軽にご相談ください。