カラーベスト・コロニアルなどのスレート系屋根材、ここ数年は築15年前後経過し製品不良が原因である屋根材(ニチハ・パミール、松下電工・レサス、クボタ・コロニアルなど)を狙ったリフォーム営業が頻繁に行われております。
そして多くのリフォーム業者さんはガルバリウム鋼板を使ったカバー工法を提案されます。
そもそも「カバー工法」ってどんな工事なの?
カバー工法とは、既存屋根材の上から新たな屋根材を施工する工法です。
「重ね葺き工事」とも呼ばれています。
施工手順は...
①棟板金、雪止め金具などを撤去
②ルーフィング施工(片面接着タイプのルーフィングを使用します)
③屋根材を施工
④完成
(カバー工法で仕上げた屋根)
一般的に言われているメリットは「既存屋根材の撤去が不要なので、全体的な工事費用を抑えられる」ことが最大のメリットだと言われております。
実際にリフォーム業者さんがこのカバー工法を勧めるとき時の営業トークは「撤去費がかからない」「廃材処理費を抑えることができる」「工期が短縮できる」といった営業トークが使われております。
たしかにアスベスト(石綿)が含まれているカラーベスト・コロニアルの廃材処理費用は高額になる傾向がありますから、カバー工法を行うことでの費用を抑えることが期待できるかもしれません。
しかしリフォーム業者さんの多くは先に挙げたニチハのパミール、松下電工のレサス、クボタのコロニアルNEOなど、アスベスト含まない屋根材でもガルバリウム鋼板を使った「カバー工法」を積極的に勧めているようです。(特に塗装業者さん)
カバー工法(重ね葺き工事)の費用はどれくらい?
一般的に「撤去費用が掛からない」「廃材処理費用が発生しない」と言われているカバー工法ですが、では実際にどれくらいの金額で工事ができるのでしょうか?
東京・町田市に拠点を構える某リフォーム会社さんの見積書
屋根面積が52.8㎡のカバー工法(屋根材はディーズルーフィングのディプロマットという石付き金属屋根材です)の屋根工事金額は1.117.280円、1㎡あたりの金額は約21.160円となります。
千葉県のとある塗装業者さんの見積書
屋根材は「スーパーガルベスト」というガルバリウム鋼板で、屋根材本体1ケースが19.520円、工賃は別途で1坪あたり10.000円となっております。
計算すると1坪当たり34.256円、㎡にすると約10.380円となってしまいます。
一方の葺き替え工事の場合、算出されるものは撤去費・廃材処理費・新規屋根材の費用・施工費などで、これらを合算すると高く見てもおよそ10.000円程度、なんと「高い」と思われていた葺き替え工事のほうが安くなるという、驚きの結果となってしまうのです。
カバー工法と葺き替え工事、工期が短いのは?
続いて「カバー工法」と「葺き替え工事」の工期について検証します。
「工期が短縮できる」と言われているカバー工法ですが、意外と時間が掛かるんです。
屋根材を剥がす手間はかからないのですが「棟板金」や「雪止め金具」を撤去しなければなりません。
ルーフィングの施工も時間がかかります。「カバー工法」に用いられるルーフィング材は「粘着タイプのルーフィング(田島ルーフィング・タディスセルフなど)」が使用されるのですが、これも結構な時間が掛かるんです。
しかし、葺き替え工事となれば屋根の大きさ・形状によりますが早い場合だと1日で工事を完了させることも可能なのです。
「工期が短い」「費用が安い」とカバー工法を勧められたら...
私は「カバー工法」をすべて否定しているのではありません。
とあるリフォーム会社さんのホームページに「予算のあるお客様には葺き替え工事をお勧めします」と記載されております。
一般的に費用も工期も短縮できるといわれている「カバー工法」ですが、いろいろ検証していくと実は「葺き替え工事」のほうが費用を抑えられ、工期も短縮できる結果が出ているのです。
特に築15年前後のアスベストを含まない屋根材への改修工事として「カバー工法」を勧めてくるリフォーム会社さんには、くれぐれも注意してください。
「カバー工法」のほうが費用的に高くなっているかもしれません。
「カバー工法」によって工期が長くなっているかもしれません。
もしも「カバー工法」を勧められたのであれば...
まずは屋根専門業者さんから見積もりをとって、比較してみることが「正しい屋根リフォーム」への第一歩となるのです。