瓦屋根にお住いの場合、築年数が経過してくるとおそらく一度は「漆喰が剥がれていますよ」といったリフォーム営業に遭遇したことがあるのではないでしょうか?
経年劣化によって発生する「漆喰の剥がれ」について、多くのリフォーム会社さんで施工されている工事が、剥がれた部分だけ漆喰を詰め直す「漆喰の詰めなおし工事」です。
しかしこの漆喰詰め直し工事は傷んだ表面だけを綺麗に直す、いわば「見た目だけの工事」を行っているだけで、根本的な解決にならないどころか、酷いケースになるとこの工事が原因で雨漏りが発生することにもなりかねません。
そこで漆喰が剥がれた時に行っておくと良い工事としてお勧めしているのが「棟取り直し工事」です。
棟取り直し工事とは...
棟取り直し工事とは、漆喰が剥がれ熨斗(のし)瓦にズレや歪みが発生している場合に「正しい工事を行う」という意味で行っておいたほうが良い屋根工事のひとつです。
よって築年数が経過していても、点検して全く異常がなければ行う必要はありません。
築年数が経過するほど、屋根は予想以上にダメージを受けているケースもございます。
こちらは築25年前後経過した屋根です。熨斗(のし)瓦が大きくズレているのがご覧になれると思います。
こちらは築30年以上経過した屋根です。熨斗瓦が外側にズレてきているのがご覧になれると思います。
こちらは2016年2月に発生した震度4の地震で棟が大きく崩れてしまった日本瓦の棟です。
経年劣化によって棟は弱くなっています。
来るべき震災から大切な住まいを未然に守るためにも「棟の取り直し工事」は効果的な工事と言えます。
棟金具と鉄筋を併用した耐震棟工法
ここで最新の工法を採用した「棟取り直し工事」の事例をご紹介したいと思います。
まず既存の棟瓦を丁寧に解体します。
棟部分には「耐震棟金具」を設置、棟際に納まる桟瓦はビスや釘を用いて再固定するため下地も補強します。これが「棟取り直し工事」における最も重要なポイントなのです。
設置した棟金具に鉄筋を固定します。これは熨斗(のし)瓦を緊結するための下地となるのです。
熨斗(のし)瓦の施工状況です。すべての熨斗瓦は鉄筋に緊結され、隙間は南蛮入り漆喰で埋めることによってより強固な棟を形成することができるのです。
最上段の棟瓦(紐丸、5寸丸とも言います)は予め鉄筋に緊結した銅線を内側から通して固定し、これで棟取り直し工事が完了しました。
瓦屋根、特に日本瓦の工事は熟練の技術を持った屋根職人さんの腕が必要です。
通りすがりのリフォーム業者さんには絶対にマネできない工事がこの「耐震棟工法」です。
皆様の大切な住まいを後世に引き継ぐためにも、この耐震化工事はお勧めの屋根修理なのです。